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【コンテスト準グランプリ店舗】「鉄板ダイニング楽今」の「丸ごと玉ねぎとシラスの黒アヒージョ」

2023.3.16

酒場ライターのパリッコさんが、第1回【黒アヒージョ料理コンテスト】受賞店のメニューを実食レポート。今回は、準グランプリを受賞した「鉄板ダイニング楽今」の「丸ごと玉ねぎとシラスの黒アヒージョ」をご紹介します。

千葉県産の底知れぬ可能性を味わう

どこか怪しげな「タイムマシン」と書かれた扉を開けると、店内にはホーロー看板をはじめとした本物の昭和グッズが所狭しと並び、各席に設置されているのは、呼び鈴に改造されたファミリーコンピュータ。昭和生まれの僕は、この時点でズキューンと胸を撃ち抜かれてしまった。

こりゃあ飲むしかないだろうと「プレミアムモルツ 中」(600円)をお願いし、もちろん黒アヒージョも注文。

僕がひとり客ということもあり、大きな鉄板が目の前のカウンター席に座ることができた。そこで自分が注文した料理がジューっと作られているのを眺めながら飲めるのは、鉄板焼き系の店の醍醐味だろう。

さっそく鉄板の上にオリーブオイルとにんにくの入ったスキレット鍋が置かれ、ぐつぐつと気泡がたちはじめる。そしてここからが、従来のアヒージョの概念をくつがえす、店主石毛さんの料理人としての独創性に驚かされる時間だった。

「丸ごと玉ねぎとシラスの黒アヒージョ」

にんにくがこんがりときつね色になり、食欲をそそる香りが立ちはじめたころ、あらかじめとろとろに蒸しておいた丸ごとの玉ねぎが、鍋の中央にどんと投入される。さらにその上に、千葉県旭市産のしらすがどさどさっと。

食材にすでに火が通っているから、油のなかでぐつぐつと煮る必要はない。ただ、にんにくの香りがたっぷりとついた油を、石毛さんは丹念に丹念にスプーンですくっては、しらすと玉ねぎの上からかけ、その香りと旨味を行き渡らせるのだった。

ほんの軽い力で箸を入れるだけで、とろりと崩れる玉ねぎ。それを熱々のオイルとしらすに絡めて食べると、香ばしさ、優しさ、野菜や魚介の強い旨味、試作をくり返し行き着いたという匝瑳産の醤油のまろやかな塩気が相まって、なんともうまい。

限られたわずかな食材の組み合わせでこんな美味しさを生み出すなんて、なんとすごいセンスと技術なんだろうと、酔っぱらいながらも、いたく感動してしまった。

スキレットの横でこんがりと焼かれたバゲットとの相性は言わずもがな。そのバゲットの追加もできるそうだが、残ったオイルを、店の定番シメメニュー「卵かけご飯」(240円)と合わせて食べるのもまたおすすめとのこと。それ、絶対にやってみたいんですけど!

あえて食べきらないように残しておいたしらすの浮かぶオイルに玉子かけごはんを投入し、よく混ぜて食べる。この作りかたの特徴ゆえ、オイルがそれほど多くないのもちょうどよく、ものすごくまろやか、かつ、しらす、にんにく、玉ねぎ、醤油の旨味がしっかりと効いた味わいで、胃もたれすることもなく、最後まで夢中になって食べてしまった。

メニュー名
丸ごと玉ねぎとシラスの黒アヒージョ

料金
880円(税込)

定休日
木曜日

店名
板ダイニング楽今

住所
千葉県旭市二6114-10

アクセス
JR総武本線 干潟駅から徒歩約25分

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